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近年注目のリーダーシップ理論「シェアド・リーダーシップ」とは?

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近年注目のリーダーシップ理論「シェアド・リーダーシップ」とは?

ひとりのリーダーに全権を委ねるのではなく、それぞれの社員(従業員)が持つ得意分野を生かして、リーダーシップを発揮するシェアド・リーダーシップが近年注目を集めています。
本記事では、リーダーシップ開発に役立つシェアド・リーダーシップのメリットやデメリット、組織における効果について解説していきます。

シェアド・リーダーシップとは?

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シェアド・リーダーシップとは、近年注目を集めているリーダーシップのひとつです。
言葉どおり、メンバー全員が主体性を持ち、リーダーシップをシェアし合う形のリーダーシップです。場面に応じて適任と思われるメンバーがリーダーシップを発揮し、リーダー以外のメンバーはフォロワーに徹します。シェアド・リーダーシップは、状況に応じてリーダーとフォロワーが入れ替わり形を変えられるため、社会・経済情勢の変化が激しい今の時代の組織開発に向いているといえます。

 

石川淳氏によると、シェアド・リーダーシップとは「職場のメンバーが必要なときに必要なリーダーシップを発揮し、誰かがリーダーシップを発揮しているときには、他のメンバーはフォロワーシップに徹するような職場の状態 」であるとしています。
出典:「シェアド・リーダーシップ」石川淳 中央経済社(2016)


トップダウン型やひとりのカリスマ的なリーダーシップを持った人物による統率ではなく、リーダー的な地位にいない人が、それぞれの得意分野を生かしてリーダーシップを発揮すると言っても良いでしょう。

 

リーダーシップ理論とシェアド・リーダーシップ

いつの時代も、リーダーと呼ばれる人が存在し、指導者としての能力・力量・統率力で人々に影響を与え、行動を促してきました。時代によって求められるリーダー像は異なるものの、優れた成果を導く組織やチームのリーダーに共通する点や法則を理論化したものが、リーダーシップ理論です。この研究は19世紀初頭から始まり、多くの変遷を遂げながら現在もなお続いています。


リーダーシップ理論は、大きく分けて以下の4種類に大別されます。
・特性理論
・行動理論
・条件適合理論
・コンセプト理論


リーダーシップ理論に関して「リーダーシップ理論とは何か?リーダーシップ理論で組織の問題を解決するには」の記事でも解説しておりますので、併せてご覧ください。関連記事はこちら

 

シェアド・リーダーシップが注目されている背景

近年VUCAの時代に突入し、私たちを取り巻く様々な事象において変化のスピードが著しく、先行きが不透明な状況に置かれています。
VUCAとは、下記4つの単語の頭文字をとった言葉です。
・Volatility(変動性)
・Uncertainty(不確実性)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性)

 

テクノロジーの発達や世界情勢の変化、感染症の拡大など、ありとあらゆる物事が時々刻々と変化する中、様々なゴールの形がある時代へと移行しています。
カリスマ的な能力を持つリーダーが会社を牽引し、明確なひとつの目標に向かっていた時代を経て、優れた能力を持つリーダーであってもひとりの判断や知識、実行力だけでは乗り切れない時代を迎えています。


シェアド・リーダーシップは社員(従業員)それぞれが持つ情報や能力、スキルを集結させ、必要な場面でリーダーシップを発揮します。各々の得意分野を効果的に活用することで、職場への影響力が拡大すると考えられるようになりました。



シェアド・リーダーシップのメリット・デメリット

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特定のリーダーにとらわれずリーダーシップを発揮するシェアド・リーダーシップ。ここでは、体制が整っている組織にもたらされるシェアド・リーダーシップのメリットとデメリットについて要素を確認していきます。


シェアド・リーダーシップのメリット

①生産性の向上

メンバーは主体性を持った働き方で、強みや得意分野を活用してリーダーシップを発揮します。お互いの苦手分野を補強し合い、組織全体の生産性向上に直結します。


②上司と部下、双方向で影響を与え合う

誰かがリーダーシップを発揮している時は周りのメンバーはフォロワーシップに徹し、支え合う関係性を構築しています。しかしただ言われたことに従うのではなく、積極的に考え、異論があればきちんと伝えながら仕事に励み、互いに向上し成長する関係です。この関係性は人材育成にも好影響を与えています。


③イノベーション
ありのままの姿で活躍できるシェアド・リーダーシップは、メンバー間の意見交換が活発化し、様々な視点の意見が集まります。その結果、発想が豊かになり、イノベーション力が向上します。


シェアド・リーダーシップのデメリット

①意見の食い違いによる調整困難
特定のリーダーを設けずリーダーシップが多くの人に分散するシェアド・リーダーシップでは、意見の食い違いが生じた場合の調整に時間を有する場合があります。シェアド・リーダーシップを遂行するためには、メンバーの話に耳を傾け、建設的な議論を交わし、お互いが納得して調整できる柔軟な環境が不可欠です。


②人間関係の悪化がもたらす悪影響
シェアド・リーダーシップを成立させるためには、職場の信頼関係の構築が重要な役割を担います。お互いを信頼しているからこそ、各々の得意分野でリーダーシップを発揮でき、それをフォローし合う関係性が成立するのです。そのため人間関係が悪化するとシェアド・リーダーシップに支障をきたし、フォロワーシップ崩壊の恐れがあります。

 

シェアド・リーダーシップに求められる4つのポイント

組織の誰もがリーダーシップを担う、シェアド・リーダーシップを成立させるために必要なポイントは以下の4つです。


① GOAL(目標)の共有
職場が組織、チームとして一体感を持ち連携して業務を行うためには、GOAL(目標)の共有化が不可欠です。目標を理解していれば、指示を待つのではなく達成するために自分はどのような貢献ができるか、数多くの情報の中から取捨選択し自分自身で判断することが可能です。


②PDCA
メンバーがリーダーシップを発揮するためには、それぞれがリーダーとしての自覚を持つ必要があります。自分なりの信念を持ち、効果的にリーダーシップを発揮するためには、「このアプローチが必要だ」という持論を持つことが重要です。持論形成にはPDCAサイクルを回すのが効果的です。


Plan:持論の仮説構築(自分が普段考えていることを整理、記述する)
Do:持論の仮説実行(仮説を意識して行動する。うまく行動に移せない場合も自分なりに解釈し、結果にも意識が向きやすくなる)
Check:持論の仮説検証(自らの心理や行動が、成果に対してどのような効果を生み出したか検証する)
Action:持論の仮説改善(うまく機能していなければ理由を検討し改善する)


自分の経験を振り返り、対話や内省を通して持論の仮説を構築するアプローチは、自分自身の強みを知る良いきっかけにつながります。信念を持って持論を鍛え続け豊かにしていくと、自分に足りないものを知り、誰もがリーダーシップをはぐくむようになります。


③エンパワーメント
メンバーの主体性を高めるために、各自の情報の共有化で能力発揮の場面を増やすことが重要です。
シェアド・リーダーシップが発揮されると職場満足度が上がり、エンパワーメントが高まります。


④フォロワーシップ
リーダーシップというものは、フォロワーに受け入れられて初めて効果が出ると言われています。誰かがリーダーシップを発揮している時に、メンバーは積極的に仕事に取り組みながら各々に考えを巡らし、問題があると感じた時はすぐに異論を唱えることになります。改善を図りながらフォロワーシップに徹する姿勢が重要で、シェアド・リーダーシップにはこの関係性が不可欠です。

シェアド・リーダーシップを本で学ぶなら

シェアド・リーダーシップの学びに役立つ書籍を2冊ご紹介します。 


「シェアド・リーダーシップ」石川淳 中央経済社(2016)
立教大学経営学部教授である石川淳氏の著書。しくみや効果、国内外企業の事例と共にシェアド・リーダーシップについて丁寧に解説しています。


宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。 長尾彰 学研プラス(2018)
漫画「宇宙兄弟」から学ぶリーダーシップ論は、エピソードやせりふを生かしながら事例をあげ、シェアド・リーダーシップを理解しやすく伝える内容です。リーダーは完璧を目指さなくてもよい、等身大のあなたが自分の強みでリーダーシップを発揮する方法が書かれています。

シェアド・リーダーシップとその効果とは

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シェアド・リーダーシップの実践で得られる効果には次の4つが挙げられます。
①職場メンバーの勤務態度
②モチベーション向上
③職場にもたらされる能力や情報量
④職場の成果


シェアド・リーダーシップが発揮されると、意思決定に携わる機会が増えるため仕事への参画意識が生じ、満足度が高まります。またそれぞれが得意分野を担い協業や連携がスムーズに進み、職場の人間関係に対する満足度が向上します。結果、勤務態度にも好影響を及ぼします。


主体的な行動や発言が可能なシェアド・リーダーシップは、本人の持つ能力や情報を使い自らの意思で決定や判断ができ、自己効力感も高まります。自己効力感を感じられる仕事は上司から一方的に指示された仕事をするのとは異なり、内発的モチベーションが上がると言われています。金銭的なインセンティブに頼らなくても、内発的モチベーションを感じられ、仕事のモチベーション向上には大変効果的です。


組織の目標達成のために自らの持つ能力を十分に発揮し、必要とされる情報を提供出来る環境にあるため、職場にもたらされる能力や情報量は自然と高まります。


自発的な意見が増えた職場はコミュニケーションも活発です。情報の共有化でコミュニケーションもスムーズになると、お互いの協力体制も強化され、チーム全体の効力感も高まります。自信がつくとさらに仕事に対するモチベーションが上がり、職場全体の成果も比例していきます。


このように個人の得意分野や強みを生かし、メンバー全員が流動的にリーダーシップを発揮するシェアド・リーダーシップは、組織力の強化に対しても効果があると言えるでしょう。
個人のリーダーシップを底上げするには、先述の通り、リーダーシップについて自分の信念を持つことが重要です。


話せる風土と、自律自走する強い組織形成に役立つ研修の一助として、外部リソースを活用するのも良案と言えるのではないでしょうか。

〈hanaseru〉では人(個人の在り方)を切り口として対話をし、自己の内省、自律に向けたキャリア支援を行います。インプットとアウトプットを繰り返す継続的な仕組みにより、マネジメントに必須な自己効力感を育てます。

最後に:近年注目のリーダーシップ理論「シェアド・リーダーシップ」とは?のまとめ

シェアド・リーダーシップとは、組織の目標達成に向け、メンバー全員が必要に応じて自らの強みや能力、情報量でリーダーシップを発揮することです。そしてリーダーが他にいる場合はフォロワーシップに徹し、全員で協力体制を整え、組織全体の業績最大化を目指す仕組みです。
社会・経済情勢の変化が激しいVUCAの時代に、ひとりのリーダーが持つ知識や情報で全ての意思決定を行うのは非常に困難を極めます。メンバーが持ち得る情報や能力を最大限に活用し、組織の成果を上げていくのに有効なリーダーシップと言えます。


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