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女性活躍のバロメーター「えるぼし認定」とは?制度の仕組みやメリットをわかりやすく解説

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女性活躍のバロメーター「えるぼし認定」とは?制度の仕組みやメリットをわかりやすく解説

女性活躍を推進し、一定の基準を満たした優良企業に対して、厚生労働省より認定される制度が、「えるぼし認定」です。「えるぼし認定」取得は、企業にとっても様々なメリットが期待できるため、注目を集めています。
本記事では、「えるぼし認定」について、認定基準や取得するメリット、制度の仕組みなどのポイントを詳しく解説していきます。

女性活躍のバロメーター「えるぼし認定」とは?

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「えるぼし認定」とは、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業に対し、厚生労働省が認定する制度です。
「えるぼし」とは「L」に女性の「Lady」や働くを意味する「Labor」の他、手本の「Lead」、称賛に値するという意味の「Laudable」を指し、エレガントに力強く働く女性をイメージしています。


「えるぼし認定」では、女性が能力を最大限に活用できる職場環境かどうかを判断するために、厚生労働省が定める次の5つの評価項目が定められています。そして、女性の活躍推進企業データベースに実績を毎年公表することが認定基準とされています。

①採用継続就労 
②継続就労
③労働時間等の働き方 
④管理職比率 
⑤多様なキャリアコース

「えるぼし認定」には3段階あり、上記5つの評価項目でえるぼしの基準を満たす項目数に応じ、段階が決定します。
出典:厚生労働省:女性活躍推進法特集ページ:認定を取得しましょう!

さらに、えるぼしを上回る「プラチナえるぼし認定」が2020年6月に誕生しました。取得条件は、「えるぼし認定」にプラスして、下記の要件を満たしている必要があります。


・5つの評価項目をプラチナえるぼしの基準で全て満たしている
・策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成している
・男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任している
・女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上を 「女性の活躍推進企業データベース」 で公表している


行動計画とは、自社の女性活躍の状況を把握し、課題を分析し作成する計画です。「プラチナえるぼし認定」には、行動計画内の目標達成が条件の一つです。


2022年11月末現在、「プラチナえるぼし認定」企業は33社、「えるぼし認定」企業は1,990社です。
出典:女性が活躍しています!
出典:女性活躍推進法への取組状況(一般事業主行動計画策定届出・「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定状況)

 

「えるぼし認定」取得のメリット

「えるぼし認定」で企業側が得られるメリットは、次の通りです。女性の活躍推進企業というイメージアップだけにとどまらず、企業運営においても有利だと言えます。


①企業のイメージアップ
②優秀な人材確保
③公共調達の加点評価や融資の優遇


①企業のイメージアップ
「えるぼし認定」には星の数によって段階を判別できるマークがあり、認定企業は自社商品やパンフレット、名刺などへのマークの使用が許可されます。女性の活躍推進企業であることを社会に向けてアピールでき、認知度の向上やイメージアップの効果が期待できます。


②優秀な人材確保
女性の活躍推進の証として求人広告や求人票にえるぼし認定マークを使用できるため、新卒、中途を問わず注目が集まり、優秀な人材の応募が期待できます。女性の活躍やワークライフバランス推進の企業と多方面に認知され、応募数の増加につながり、企業価値が高まると予想されます。


「えるぼし認定」は社員(従業員)のエンゲージメント向上にも貢献し、労働力不足の解決にも一役買っていると言っても過言ではありません。「えるぼし認定」は採用強化にも有効です。

 

③公共調達の加点評価や融資の優遇
「えるぼし認定」企業は、中央省庁が行う公共調達のうち、総合評価落札方式または企画競争方式において加点評価の対象になります。認定段階(星の数)により加点数は異なります。
出典:女性活躍推進法に基づく認定企業(えるぼし認定企業)が公共調達で有利になります!


この他にも、一定の要件を満たす「えるぼし認定」の中小企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」の利用時に、基準利率から最大マイナス0.65%の低利融資を受けられます。
出典:日本政策金融公庫の融資を受ける際 認定企業は、金利の引き下げ対象となります

「えるぼし認定」取得までの流れ

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ここでは、「えるぼし認定」取得の流れを説明します。流れは以下、4つのステップに分かれています。

<STEP1> 自社の女性活躍に対する状況把握と課題分析
「えるぼし認定」を取得するためには、一般事業主行動計画(以下「行動計画」)を策定する必要があります。
行動計画とは、自社の女性活躍に対して適切な状況把握と課題分析を行い、その結果を踏まえて目標を達成するための方針・戦略、必要な行動をまとめた計画を指します。
課題分析の基礎項目は下記の4点です。

①採用した従業員の女性の割合
②平均継続勤務年数の男性と女性の差異
③月ごとの法定時間外労働と法定休日労働の総時間数の合計の平均
④女性の管理職比率

 

<STEP2> 一般事業主行動計画(行動計画)の策定と届出

<STEP1>の状況把握、課題分析の結果を勘案し、行動計画を策定します。行動計画には(a)計画期間、(b)数値目標、(c)取組内容、(d)取組の実施時期を盛り込むことが必要です。
常時雇用労働者数が301人以上の事業主と、101人以上300人以下の事業主では行動計画に関する義務内容が異なりますのでご注意ください。
策定した行動計画は社員(従業員)へ周知、社外に公表し、所定の方法で都道府県労働局に届出を行います。

出典:女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

 

<STEP3> 女性の活躍推進企業データベースに女性の活躍情報を公開

女性の活躍推進企業データベースなどに自社の女性の活躍に関する情報を公開します。この際、常時雇用する労働者数301人以上の事業主は男女の賃金の差異を含めた3つ以上、300人以下の事業主は1つ以上の公表項目を選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように公表します。また年に一度データの更新が求められています。


<STEP4> 都道府県労働局へ「えるぼし認定」を申請
これらを実施した企業のうち評価基準を満たしている企業だけが、都道府県労働局への申請で「えるぼし認定」を取得できます。
出典:厚生労働省:女性活躍推進法特集ページ

 

「えるぼし認定」企業は職場の実情を的確に把握することが求められています。アンケートや意見交換などを定期的に実施し、数値目標の達成状況や、行動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価する必要があります。しかし、「えるぼし認定」を取得した企業が女性活躍推進法に違反した場合、また是正勧告に従わない場合は、不認定や認定取消の対象となります。


なお、基準を満たさず認定を辞退した場合、再度基準を満たすことで認定を受けることが可能です。
取り消し対象となる項目は次の通りです。


・認定一般事業主が女性活躍推進法第9条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき
・女性活躍推進法又は女性活躍推進法に基づく命令に違反したとき
・不正の手段により認定を受けたとき


法令違反などの認定取り消しのケースについては、取り消しから3年が経過するまで再取得はできないため注意が必要です。

「えるぼし認定」企業の取り組み事例

厚生労働省では、「えるぼし認定」企業名や認定実績数を公表しています。2016年の制度開始から順調に推移し、2022年11月末現在、「プラチナえるぼし認定」企業は33社、「えるぼし認定」企業は1,990社です。
出典:女性活躍推進法への取組状況(一般事業主行動計画策定届出・「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定状況)

 

次に、「えるぼし認定」の中でも最高位である三つ星を取得した企業の事例を2社ご紹介します。

 

・株式会社リコー
株式会社リコーは「えるぼし認定」制度が開始した2016年に三つ星を取得した、女性活躍推進先駆けの企業です。育児支援制度の見直しに加えて職場の意識や風土情勢を推進した結果、現在は女性社員(従業員)の育児支援制度の利用率および復職率がほぼ100%に達しています。ここで注目したいのは、男性正社員(従業員)の育児休業取得率が107.4%である点です。女性の活躍推進が男女双方の意識改革につながり、性別を問わずより働きやすい環境が整いつつある状況です。

女性の平均勤続年数は男性と同等の21.1年まで伸長しています。(2022年6月現在)


女性の活躍推進を加速させるために、若手女性社員(従業員)に対して、早い段階からワークライフ・マネジメントとキャリア意識の醸成を促すフォーラムを開催しました。管理職候補層にはマインドセットとスキルアップを狙うキャリアサポートプログラムなどを実施し、女性管理職の割合は6.6%に上っています。(2022年4月現在)
出典:女性活躍推進法に基づく「えるぼし」企業に認定 | リコーグループ 企業・IR

 

 

・株式会社インテリックス
株式会社インテリックスは和歌山県に本社を置くオーダーカーテンを主軸に、窓装飾インテリア商品の製造・販売を行う企業です。2017年にえるぼし三つ星認定を受け、その後2020年には、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である、「プラチナえるぼし認定」企業の称号を全国で初めて取得しました。


・育児短時間勤務制度(子どもが小学校3年生の年度末までに拡大)
・育児目的休暇導入(就学前の子ども1人につき年1日、有給とは別に、運動会などの学校行事や予防接種、日常の育児や配偶者の育児サポート等に使用可)

 

女性社員(従業員)に限らず男性社員(従業員)にも利用しやすい制度を導入し、サポート体制を整えています。


現在、女性管理職は係長以上で41.8%、課長以上で30.8%です。今までは出産でキャリア中断せざるを得なかった女性社員(従業員)にも制度拡充で支援できるようになっており、今後も女性管理職の増加が期待されます。
出典:【全国で第1号認定】プラチナえるぼし認定企業に認定されました | ニュース | オーダーカーテンの株式会社インテリックス

「えるぼし認定」と女性活躍推進法の密接な関係

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「えるぼし認定」は、2015年8月に国会で成立、2016年4月に全面施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(略称:女性活躍推進法)」に基づいています。
これは、働きたい女性が個性と能力を生かせる環境づくりを目指す上で国や地方公共団体、民間企業などに求められる責務を明らかにした法律です。

 

〈女性活躍推進法の概要〉
・女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が 及ぼす影響への配慮が行われること
・職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること
・女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと

出典:女性活躍推進法 参考資料

 

また女性活躍推進法には、次の3点が義務づけられています。
①自社の女性の活躍状況の把握・課題分析
②行動計画の策定・届出・公表
③自社の女性の活躍状況の公表

2019年5月29日には法改正が行われ、2020年6月1日、女性の活躍に関する情報公表の強化が施行、さらに2022年4月1日には、一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務対象が、常時雇用する労働者数301人以上から101人以上の事業主に拡大されました。

国や企業には働く意思のある女性が個性や能力を生かせる環境を整える義務に加えて、働く女性たちの考えを尊重する必要があります。「えるぼし認定」企業の増加は、働く女性の声を形にし、活躍推進をあらゆる角度からサポートしながら後押しする密接な役割を果たしています。

 

「えるぼし認定」取得に欠かせない!女性管理職を増やすには

「えるぼし認定」の基準には採用や継続就業など5つの評価項目があり、その中には女性管理職の比率が含まれています。以下の2点のうちいずれかを満たすことが認定基準です。


・管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
・直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合」÷直近1事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」が0.8以上であること。


政府は2003年に、2020年までに「女性管理職比率30%」の目標を掲げていたものの、結果は達成率7.5%に過ぎず、2020年代の可能な限り早期にと方針転換を余儀なくされました。2016年の女性活躍推進法制定や「えるぼし認定」制度の開始により、それ以前に比べると女性の活躍推進は右肩上がりで伸長しています。


従って、「えるぼし認定」取得には欠かせない女性管理職比率の向上が急務です。制度の整備や意識改革実現のために、より具体的なアプローチを4つご紹介します。

 

・ワークライフバランス
子育てや介護といった家庭の事情から、管理職昇進を望まないケースが見られます。管理職は長時間労働を余儀なくされるイメージが強く、プライベートを犠牲にし、重責を担って働くのは難しいと考えて昇進を断念する女性も多く見られます。フレックスタイム制度、在宅勤務・テレワーク、短時間勤務制度、病気・不妊治療休暇といった制度の導入で、女性が働き続けられる環境の整備が求められます。


・ロールモデル育成
多様な働き方の女性が管理職に昇進しロールモデルが誕生すると将来像がイメージでき、管理職を目指す女性社員(従業員)の増加が見込まれます。その結果、女性管理職増加にもつながります。

 

・キャリアアップに向けた研修
女性社員(従業員)の活躍を推進するには、スキルを磨き、経験を積む場が必要です。女性活躍推進法以前は、女性社員(従業員)の多くがその機会を与えられずにいました。スキルを身に着けるためには早い段階で研修を行い、女性管理職を目指す心構えを学ぶ必要があります。実践の機会が増え、実績を挙げやすくなると活躍の場が広がります。

 

・長時間労働の防止

中間管理職は長時間労働を強いられる印象が強いのも、女性社員(従業員)が昇進を望まない原因の一つだと言えます。そのイメージを払拭するには、長時間労働の防止が効果的です。
管理職のイメージアップにつながるほか、性別にかかわらず社員(従業員)満足度を向上させるために有効な手段です。


「えるぼし認定」には女性活用が第一歩

「えるぼし認定」には、女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上を 「 女性の活躍推進企業データベース 」 で公表することが定められています。
女性活躍の取り組みや働き甲斐に対する実績が成果として公表し、社内外にアピールできるだけでなく、採用活動のメリットもあります。就職活動では学生が働きやすい企業と認識し有能な人材が集まりやすくなる他、優秀な人材の社外流出を防止できるため、生産性がアップし成長性も高まる効果も期待できます。


女性の活躍推進は、「えるぼし認定」の取得に向けて新しい一歩を踏み出すきっかけと言えるでしょう。


なお女性活躍推進については、コラム『女性活躍推進のヒントをひも解く!女性社員(従業員)が管理職への意欲を持つためのアプローチとは?』の掲載記事にて解説しています。併せてご覧ください。 
詳細はこちらから。

 

「えるぼし認定」取得に向けた外部リソースの活用を新たな選択肢に

「えるぼし認定」には女性管理職比率の高さが重視されており、産業ごとの平均値以上をマークしなければ認定基準を満たせません。
先にも述べたように、「えるぼし認定」企業は右肩上がりの傾向にあります。女性が活躍している企業だと広く社会に認知されるためにも、「えるぼし認定」取得は最優先課題だと言えます。
また「えるぼし認定」は厚生労働省の制度であるため、国から優良企業とお墨付きを得られるメリットもあります。


女性管理職登用に対するさまざまな苦労や、女性社員(従業員)が抱える課題解決には、社内研修の一環として1on1ミーティングの活用をお勧めします。

〈hanaseru〉では、10年以上の管理職経験とキャリアコンサルタント資格を保有する女性コーチが多数在籍しており、1on1ミーティングで内省を促します。心理的安全性が高い月1回の対話では、不安や悩みを一人で抱える女性社員(従業員)に対して自己開示を行い、次第に自己効力感を高めていきます。

 

最後に:女性活躍のバロメーター「えるぼし認定」とは?制度の仕組みやメリットをわかりやすく解説のまとめ

「えるぼし認定」は女性の活躍促進に関する状況等が優良な企業に対して、厚生労働省が認定する制度です。
女性活躍推進法を基に定められた、女性社員(従業員)の割合・勤続年数・管理職比率など5つの評価項目をクリアし、女性の活躍推進企業データベースに実績を毎年公表することが認定基準とされています。

「えるぼし認定」の取得により、社内外に対して女性が働きやすい環境を整えている企業であるとアピールできるため、企業イメージの向上や優秀な人材の確保、企業の成長などが期待できます。「えるぼし認定」取得には事前に準備が必要で、そのための施策として1on1ミーティングが有効だと言えるのです。

〈hanaseru〉は課題を抱える企業のために開発されたオンラインコーチングサービスです。
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