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組織力を高める「ダイバーシティ&インクルージョン」とは?メリットや事例をポイント解説

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組織力を高める「ダイバーシティ&インクルージョン」とは?メリットや事例をポイント解説

多様性を互いに認め合い、それらを生かしていく考え方を意味するのがダイバーシティ&インクルージョンです。本記事では、組織力を高める「ダイバーシティ&インクルージョン」とはどのようなものか?メリットや事例のポイントを詳しく解説します。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?

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ダイバーシティ(Diversity)とは多様性を意味する英単語で、年齢や性別、国籍、人種、宗教、嗜好などさまざまな違いや価値観を持つ人々が集団を形成している状態を言います。


インクルージョン(Inclusion)とは受容を意味する英単語です。ダイバーシティ&インクルージョンの特徴は、二つの意味を合わせて、多種多様な人々が考え方の違いや個性を互いに尊重して受け入れ、認め合い、個々の能力を十分に発揮できる場を生み出すことだと言えます。また、ダイバーシティ&インクルージョンはD&Iとよく略されます。


ダイバーシティの歴史は1960年代のアメリカに遡ります。当時のアメリカでは、公民権運動で人権差別撤廃が叫ばれ、雇用機会の均等やアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)の義務化が進んでいました。企業の人事政策や、教育の場におけるアファーマティブアクションによりマイノリティが経済的にも力をつけていきました。それに伴って1980年代にマイノリティ向けの消費財が開発されるようになると、人種や性別、価値観などの違いを否定するのではなく、価値を置くという考え方にシフトしていったのです。

 

大手企業を中心に、多様な人材の活用で組織の生産性や競争力を高める人事戦略が盛んになると、その考えはビジネス界にも影響を及ぼすようになりました。その結果、ダイバーシティは「多種多様な人々に対して企業が偏見や差別なく平等に雇用機会や待遇を提供する」という意味合いで広く認知されるようになりました。

 

ダイバーシティ&インクルージョンが企業で重要視される背景

①少子高齢化による労働力不足
現在、日本では少子高齢化による労働人口の減少で、すでに多くの企業が人材不足に悩まされています。
出典:第1章 日本経済の現状と課題 第3節

 

パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、人材が644万人不足すると推計されています。   
出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」


生産年齢人口と呼ばれる生産活動の中心にいる15歳以上65歳未満の人口層は、1990年代をピークにそれ以降は減少傾向が続いています。育児や介護のために職を手放さざるを得なかった女性、時間の制約がある人、再雇用で働きたいシニア層、外国の方など幅広い人材の活用は、企業にとって労働力不足解消の一助になります。


②ビジネスのグローバル化
ビジネスにおいて国や地域を超えた急速なグローバル化が進み、市場の拡大に伴い顧客ニーズも大きく変化しています。多種多様な人々が考え方の違いや個性を生かし、それぞれの知見やアイデアを持ち寄って、新たなイノベーションを創出する動きが期待されます。このような経緯でダイバーシティ&インクルージョンがより注目され、多種多様な人材を受け入れる環境整備が急務になりつつあります。

③雇用に対する価値観の変化
これまでの終身雇用制度が大きく揺らぎ、働き方に対する価値観も大きく変化しています。画一的なフルタイム勤務から短時間労働、リモートワークなど従来の働き方とは異なる柔軟で多様な働き方が求められるようになりました。企業側も多様なニーズに対しフレキシブルなマネジメントを行う必要があります。社員(従業員)各々が持つ個性や能力を自社内で醸成させ、実現させていくべきなのです。

ダイバーシティ&インクルージョンに取り組むメリットと注意点

日本の労働力不足は諸外国と比較しても顕著であり、今後も人材獲得に苦戦すると見込まれます。しかしダイバーシティ&インクルージョンの推進で、多様な人材まで間口を広げることで、今までは出会えなかった求職者の中からより優秀な人材採用につながるケースも考えられます。
出典:第2-1-7図 人手不足の国際比較 - 内閣府

 

また、ライフスタイルの変化に応じて働き方を選択できるようになると、社員(従業員)は自分自身の将来の姿を想像できるようになり会社への満足度向上につながります。
その際、各々の特性が受容されていると感じ、安心感に包まれると心身が充実するだけでなく、働く上でも好影響を及ぼします。

 

文化や国籍、趣味嗜好の異なるパーソナリティーから生まれるそれぞれの視点が新たな意見や考えを生み、イノベーションの創出も期待できます。ダイバーシティへの取り組みが企業に好印象を与える可能性も生まれるでしょう。


しかし、その一方でダイバーシティの推進によってデメリットが生じる恐れもあることを加えておきます。
考え方や価値観が異なると、それまでは共通認識であった解釈に対する齟齬が生じる可能性も考えられます。意見が一つにまとまらない、情報の伝達が上手くいかないなどコミュニケーションが円滑に進まず課題が生じた場合は、生産性に影響を及ぼすため注意が必要です。

 

ダイバーシティ&インクルージョン取り組みの具体例

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①女性の活躍推進

日本では2016年に制定された「女性活躍推進法」(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案)を機に、女性が働きやすい職場環境を整備する動きが活発化しています。


女性の活躍推進には、下記などの事例があります。
・女性管理職の増加
・時短勤務・在宅勤務制度の導入
・社内託児所の設置
・意識改革に向けたキャリアデザイン研修


丸井グループでは店舗の遅番勤務が22時のため、子どもが小学校3年生まで利用できる育児時短勤務の期間が終了すると退職する女性が多い事実に着目し、時間帯限定フルタイム制度を導入しました。
子どもが小学校6年生までは19時までの就業時間で帰れるだけでなく、短時間勤務の人がフルタイムで働ける日は、遅番の人が早番シフトに入れるように不公平感の是正も図るなど、不公平感がなくワークライフバランスを考慮したより働きやすいように環境整備が行われています。
出典:社員が納得しなければ、女性活躍は進まない(丸井グループ)

 

②シニア層の活用 

高年齢者雇用安定法が2021年に改正され、今まで義務とされていた「60歳未満の定年禁止」や「65歳までの雇用確保」の2点に加えて、社員(従業員)の雇用確保年齢を65歳から70歳に引き上げる努力義務が加わりました。
出典:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保


シニア層の活用においては、下記などの事例があります。
・60歳以上の高齢者入社
・スキルや知見を持つシニア層の厚遇
・定年廃止
・定年後の他企業への再就職サポート
・起業支援
・キャリアシフト研修


日本マクドナルドホールディングスではシニア層を積極的に採用し、年齢や立場が異なるクルー同士が助け合いながら働ける環境を築いています。2021年7月時点で最高齢のクルーには93歳の男性もいます。
出典:プレミアムエイジ(シニア)クルー

 

③障がい者の雇用促進 

障がい者の雇用促進では、下記などの事例があります。
・障がい者の資格取得支援制度
・障がい者向けの社内相談窓口の設置
・働きやすい環境づくり
・ユニバーサルデザイン商品の開発


コクヨ株式会社では、障がい者が意欲的に働ける場として特例子会社「コクヨKハート株式会社」を設立しました。特例子会社にて既存事業のノウハウを持つシニア層社員を指導担当としてサポートできる体制の整備を進めたところ、障がい者社員が取り組む業務の選択肢も増加し、グループ会社における業務の細分化に成功しています。
出典:働き方改革とダイバーシティ&インクルージョン

 

④外国人の活用

外国人人材の雇用促進は、ビジネスのグローバル化において非常に重要な役割を果たします。そのため外国人人材の社員(従業員)が安心して働ける環境の整備やサポートが必要です。


外国人人材の雇用促進では、下記などの事例があります。とくに環境の整備、サポート面の事例が目立っています。
・母国帰国休暇制度
・ビジネス日本語研修(レベルによるクラス分けあり)
・祈祷部屋


株式会社小金井精機製作所では若手技術者の不足を問題視し、長期にわたりベトナムの大学新卒生である優秀な技術者を採用しています。異国での労働に配慮し、配偶者の採用にも取り組んでいます。
出典:群馬)人材不足の救世主はベトナム人 技術職で2割弱

 

⑤LGBTQへの理解

LGBTQへの理解を深めるために、下記などの事例があります。
・同性パートナーシップ制度導入
・社内研修
・トイレや更衣室などの施設利用上の配慮
・服装や通称名の使用
・社内制度の利用
・機会均等に関する相談窓口での相談対応


ソニーグループでは社内外のサイトにおいて、ソニーグループとして制定したダイバーシティ・ステートメントを公開し、同性パートナーへの福利厚生や人事制度適用に対応している他、機会均等に関する相談窓口で性自認・性的指向などに関する働き方や制度への相談も受け付けています。
またダイバーシティウィークを開催し、世界のグループ各社で性別・人種・国籍・性的指向や障がいといった多様性を考えるイベントを定期的に実施しています。
出典:多様な人、異なる感性、ひとつの願い。

ダイバーシティ&インクルージョン企業事例

続いて、ダイバーシティ&インクルージョン推進に取り組む先進的な企業の事例を詳しくご紹介します。

 

日本IBM 女性リーダー増加の活動

世界170か国以上で事業を展開するIBMは多様性を受容する伝統があります。日本IBMでも1990年代前半から優秀な社員(従業員)の獲得と人材の活用という観点から、企業戦略のひとつとしてダイバーシティの取り組みを開始しました。1998年、女性リーダー育成を目指し、女性のさらなる活躍支援を宣言しています。そして女性のキャリア継続において直面する課題に対し、社員(従業員)自らが確認して目標を掲げ、結果を出すための対策を提言する、社長直属の諮問委員会「Japan Women’s Council(JWC)」を発足しました。


日本IBMは「しなやかに自分らしく」成長を望む女性社員(従業員)を応援する企業風土の開拓に尽力しています。 現在女性採用比率を1割から4割へ引き上げ、短時間勤務や裁量勤務といった働き方制度の導入、出産・育児・介護・健康維持に関する支援などに取り組んでいます。


女性誌「日経WOMAN」(日経BP)と日本経済新聞社グループの「企業の女性活用度調査」によると、日本IBMは2020年版「女性が活躍する会社BEST100」の総合ランキング1位に選出され、女性が活躍する企業の先駆者としてロールモデルとなる存在です。
出典:2020年版「女性が活躍する会社BEST100」 総合ランキング1位は日本IBMに

 

日本航空(JAL) LGBTQ理解促進の活動

日本航空(JAL)は 2016年にLGBTQ人財に着目し、理解促進の取り組みを開始しました。多様な人財のさらなる活躍推進に向けた社長メッセージ (2016年3月) の中で、 LGBTへの正しい認識と理解を深めるべく取組を進めると発信しています。


また日本航空(JAL)では、会社の定める同性パートナー登録を行った社員(従業員及びそのパートナーと家族)に対し、異性と法律上の結婚をしている社員(従業員)と同様に適用する制度を導入しています。またLGBTQ関連のイベントやセミナーに参加するほか、2019年度には国内初の「JAL LGBT ALLYチャーター」を実施しました。


2020年10月1日からは機内や空港で使用していたアナウンスの文言を、ジェンダーニュートラルな表現に変更するなど、LGBTQに対する正しい理解を社会に広めるため行動し続けています。
その結果、LGBTQに対する取り組みが評価され、PRIDE指標ゴールドを2016年度から7年連続受賞しています。
出典:D&I推進|サステナビリティ|JAL企業サイト

 

 

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する秘訣

異なる価値観や意見を持つ多様な人材が集結するダイバーシティ&インクルージョンの推進にとって、マネジメント能力は必要不可欠です。全ての社員(従業員)が意見を出せる場では少数派の意見にも耳を傾け、不平等感を植え付けないよう丁寧なコミュニケーションで接し、意見をまとめるスキルが求められます。


ダイバーシティ&インクルージョンは一朝一夕に効果が表れるものではありません。慣例を崩しながら新しい環境整備に取り組むため、人によっては居心地の良さを感じていた仕組みが一変してしまうケースもあり、ストレスを感じ、不平不満が生じる可能性もあります。その際は一人ひとりの価値観や意見の違いを尊重し、なぜダイバーシティ&インクルージョンを推進するのか、共通の目標を達成するために社員(従業員)の理解を深め納得してもらい長期的に推進する姿勢が大切です。

 

 

ダイバーシティ&インクルージョンで組織力を高めるには

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ジェンダー、国籍、障がいのある方など多様な人材にとって働きやすい環境とは、つまるところ誰にとっても働きやすい環境であると言えます。組織力の高い企業の特徴は、社員(従業員)の個性や価値観の違いを生かし、個人の能力にあった場所に配置されている点です。能力が存分に発揮できると様々な意見が生まれ、新しいイノベーションを創出します。


人事制度や仕組みの改善で間口が広がり、今まで採用の対象から外れていた人材やキャリアの継続を断念していた人材の定着に成功すると、個々人の能力や特性を最大限に活用できる環境構築がより一歩前進します。環境の整備が生産性の向上、ひいてはモチベーション向上にもつながり、それぞれがライフプランを描きながら安心して継続的に働ける環境は、組織力を強固なものにしていくと言えます。

 

ダイバーシティ&インクルージョンで組織力を高めるには

制度の変更や社員(従業員)への研修は意識改革につながり、多様な人材がそれぞれに能力を発揮できるチャンスでもあります。しかし、今までの価値観やアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を変化させていくには長期的なプランが必要だと言えるのです。

 

社員(従業員)一人ひとりがどのように考え、感じているのか、それぞれの意見をヒアリングし試行錯誤を重ねながら具体的な取り組みを検討・実現することが重要です。

 

ダイバーシティ&インクルージョンの推進に外部リソースの活用を

社員(従業員)全員が平等に意見を述べられる場を設けるには莫大な時間が必要であり、社内で全て聞き取るのは大変な労力がかかります。普段から採用や労務の業務を両立させつつ、更なる負荷が人事部などの関係者に掛かるのは社内リソースも限られており、工夫が求められるのではないでしょうか。そこで外部プロ人材の活用をご提案します。


〈hanaseru〉では厳しい審査を通過した人材開発領域の実績豊富なキャリアコーチが、人(個人の在り方)を切り口とした対話で自己の内省、自律に向けたキャリア支援を行います。
ユーザーははたらくことを通して自律性が向上し、自己効力感を高め意思決定の迅速化といった個人のエンパワーメントに効果を発揮します。


外部リソースのコーチングで自らの意見をしっかりと話せる風土の醸成、自律自走する強い組織作りとダイバーシティ&インクルージョンの推進にご活用ください。

 

 

最後に:組織力を高める「ダイバーシティ&インクルージョン」とは?メリットや事例をポイント解説のまとめ

少子高齢化や労働力不足が顕著な日本にとって、性別、年齢、国籍など多様な人材の能力を生かせるダイバーシティ&インクルージョンの推進は必要不可欠です。今まで将来像が描けずキャリアアップに消極的だった女性社員(従業員)の登用や、ライフスタイルの変化に対応した時短勤務制度など、誰もが働きやすく活躍できる環境は組織の力を高めます。


また優秀で異なる価値観を持ち、個性と能力を発揮できる人材の獲得は、ビジネスのグローバル化にも多大な影響力を及ぼすだけでなく、企業のイメージアップにも貢献します。


〈hanaseru〉は自己の内省、自律に向けたキャリア支援で個人のエンパワーメントに効果を発揮します。
個々の能力を最大限に活用し、組織力を高めるダイバーシティ&インクルージョンの推進に、デジタルアンケートによる可視化と経験豊富な外部プロ人材のキャリアコーチングを組み合わせた〈hanaseru〉が成果を導きます。随時無料でのご相談も承ります。まずは、お気軽にお問い合わせください。


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