「OKR」とは何か?人事評価との違いや魅力、事例も併せて解説

インテル、GoogleやTwitterなどシリコンバレーの名だたる最先端IT企業がOKRを導入し、みるみる急成長を遂げ脚光を浴びました。日本でもメルカリの導入をきっかけにOKRへの注目度が高まり、導入を決める企業が増えています。
本記事では、OKRについて導入のメリットや事例を交えながら解説していきます。
OKR(Objectives and Key Results)とは何か?
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OKRは元インテルCEOのアンディ・グローヴ氏が提唱したことから始まり、2000年代初頭にGoogleが導入して急成長を遂げ一気に注目を浴びました。その後Twitterや旧Facebook(現Meta)など、多くの最先端IT企業に広まっていきました。日本ではメルカリの導入がきっかけとなり、スタートアップ企業の追随で近年高い注目を集めています。
OKRとはObjectives and Key Resultsの略で、達成目標(Objectives)と、主要な成果を意味し目標達成度を測るKey Resultsで組織やチーム、個人が方向を同じくして重要課題に取り組む目標管理手法で人材育成にも使われています。
元インテルCEOのアンディ・グローヴ氏により提唱されたOKRは、会社と個人がそれぞれの目標を共有するのが特長で、短期間に難易度の高い目標に取り組み、社員(従業員)のパフォーマンス向上を目的としています。
OKRの誕生の背景に深く関係するインテルの危機。ここで簡単にインテルの歴史を紐解いていきます。
OKRはインテル創業時、3人目のメンバーであるアンディ・グローヴ氏によって提唱されました。
1975年、アンディ・グローブ氏はMBOの進化版として自ら考案した目標設定システムをiMBO(Intel Management by Objectiveの略称 インテル流目標による管理)と名付けます。しかしこれまでのMBOとはまったく異なり、『目標』と『主要な成果』をセットにしたものでした。
1979年、日本市場や新興企業の台頭で存亡の危機を迎えていたインテルは、状況を挽回するためにオペレーション・クラッシュ(破壊作戦)と呼ばれる作戦を発動しました。顧客のインテル離れを止めるためになりふり構わず、社員(従業員)の半数、約1000人動員の市場争奪戦を仕掛けました。インテルは業界のリーダーであるというイメージ戦略を行い、見事勝負に打ち勝ちました。当時インテルに在籍していたジョン・ドーア氏は著書「Measure What Matters」の中で、『社員(従業員)1000人を動かす際の情報伝達は、OKRシステムがなければ実現しえなかった』と記しています。
インテルでアンディ・グローブ氏からOKRを学んだジョン・ドーア氏は、その後ベンチャー・キャピタリストに転身しGoogleの創業当初から出資していました。GoogleにOKRを持ち込んだのはジョン・ドーア氏です。Googleの事例については後で詳しく取り上げます。
OKRは会社の最重要課題を明確にして社員(従業員)と共有できる点がポイントです。
OKRの目標設定は、具体的な定性も交えて行われることもありますが、基本的には客観的に評価できる定量に限られ、あえて能力以上の難易度で成長を目指すことが求められています。そのため達成率は60−70%になるように計画し、もしもそれ以上の達成率を上げた場合は目標値の立て方が甘いと判断されます。
・自分は何を目指したいのか
・目標までの到達度をどのように測ればよいか
が焦点になることが、人材育成としても使われているポイントです。
OKRの背景や人事評価との違い
OKRが注目されている背景には、導入企業の急成長や社員(従業員)の貢献度、マネジメントへの課題など、さまざまな視点からの問題意識が見て取れます。人事評価の違いと共に説明します。
OKRが注目される背景
GoogleやTwitterといった世界的に急成長を遂げる企業が次々と導入し、現在、日本企業でも数多くの企業に導入され注目を集めているOKR。多くの企業に多大な影響を与えている背景には、OKRは全社員が心を一つにして同じ課題に全力で立ち向かう点にあります。野心的な目標にチャレンジすると社員の潜在能力が引き出され、社員のエンゲージメントが高まります。驚くような結果が生み出されているのは導入企業の業績を見ても明らかです。
OKRとMBO(目標管理制度)やKPIとの違いとは
OKRでは、まず企業全体の重要な達成目標(O)と主要な成果(KR)を決定し、続いてチーム、個人と細分化しながら、企業の達成目標とリンクさせてOKR設定していきます。
企業と個人の方向性が揃い、スピーディーな目標達成が可能となります。
MBOは人事考課や評価制度の位置づけで報酬の決定にも関わります。目標の達成水準は100%です。目標は上司と社員(従業員)本人で管理するのに対し、OKRは社内に公開されて目標管理されます。数値目標の達成度がそのまま評価に反映されるわけではなく、あくまで成長に焦点を当てているのがOKRの特徴です。
なおMBOについて、詳しくは「目標管理制度(MBO)とは何か?メリット・デメリットをポイント解説」のコラムでご紹介しております。併せてご覧ください。
コラムはこちらから
KPIはプロジェクト達成のゴールに向かう中間的な指標を指し、目標の達成度チェックが目的です。こちらも目標の達成水準は100%で、一般的にはマネジメント層によって設定されます。OKRの場合、個人ではなく、組織全体の成長を重視しています。チャレンジングな目標設定が求められ、達成度は60〜70%を目安としています。
OKRと人事評価との違いとは
先ほどMBO(目標管理制度)との違いについて述べた際、OKRは数値目標の達成度がそのまま反映されるわけではないとお伝えしました。こちらではもう少し詳しく解説していきます。
「OKR」と「人事評価制度」
OKRにおいて目標の達成度と人事評価を直結させるべきではなく、報酬とは分けて考えるべきだと言われています。OKRは組織としての目標達成に向けたストレッチ目標を設定することで、社員(従業員)の成長を促すことが求められています。もしもOKRが人事評価に反映されると、多くの社員(従業員)が評価を高めるために、達成しやすい目標を設定してしまう恐れがあります。
Key Resultには、目標達成に直接結びつく行動や、その行動によってもたらされる結果を定量的な指標で把握することが求められます。
OKRは実績評価のツールと考えないようにしましょう。
OKR導入のメリット
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OKR導入で企業が得られるメリットは次の通りです。
1.社員(従業員)のエンゲージメントが向上する
会社と個人の目標がリンクするため、会社と社員(従業員)の方向性が一致し意思の統一が図れるようになります。社員(従業員)のミッションやビジョンに対する解像度が高まり、貢献度もアップします。
2.コミュニケーションが促進される
高難易度の目標設定で個人の潜在能力が引き出されるだけでなく、チームが一丸となって全力で目標に立ち向かうためコミュニケーションが促進されます。またOKRは全社で共有されるため、他部署の貢献度合いもつまびらかになり、コミュニケーションのきっかけが生まれます。
3.生産性が向上する
OKRでは野心的な目標を設定するため、意欲的な挑戦が増え、生産性の向上につながります。また繰り返しになりますが、会社と個人の目標がリンクするため全社員の方向性が一致することによる効率化も生産性向上に結び付いています。
OKR導入事例から学ぶ
インテルでアンディ・グローブ氏によって提唱されたOKR。OKRの代名詞ともいわれる企業の導入事例をご紹介します。
ベンチャー・キャピタリストに転身する前に勤務していたインテルでの経験から、2000年代初頭GoogleにOKRを持ち込んだジョン・ドーア氏。
Googleでは1年単位と四半期単位でOKRを設定しています。現在も四半期に一度、会社全体を対象としてミーティングを開催し、OKRの目標設定や進捗状況、達成について公開しています。
GoogleのOKR
①ストレッチゴール設定
まず達成不可能とされる高難易度の目標(ストレッチゴール)を設定します。これは100%の達成は求められておらず、60〜70%の達成で成功とされる目標です。
Googleには10%成長を目指すのではなく、10倍の目標を達成するための成果を目指せという考え方があり、Google式10X思考と呼ばれています。10倍の目標達成は困難でも、6〜7割達成できたとすると、以前の6〜7倍の成果を上げたことになり、10%増の目標よりもはるかに大きな規模の拡大が見込め、今後の発展につながります。
②Key Resultに着目したスコアリング
あえて高難度の目標設定で社員を鼓舞しているOKR。人事の評価をストレートに反映させることは、社員(従業員)によっては達成可能な目標設定に留まる懸念があります。
GoogleではKRの部分に着目し、公平公正な評価が出来るようにスコアリングを設定しています。9つのOに対して3つのKRを設定。KRの達成度を0〜1.0で数値化して測定し、このKRの平均がOのスコアになります。
③OKR検証
四半期の半ばに一度、設定したOKRを検証し、個人やチームの状況のすり合わせと軌道修正が行われます。最新状況の共有、リソースの再配分、目標の取り下げといった柔軟な対応で運用していきます。
メルカリ
インテルやGoogleで成果を生み出しているOKRに着目し、社員数が50人~100人のフェーズ、2015年に導入を開始したメルカリ。当時、OKRの情報は日本にまだほとんどなく、英語の文献でリサーチし導入を検討しました。
組織の拡大につれて経営メンバーと各メンバーの目標に乖離が生じるのではないかという危機感があり、経営メンバーと各メンバー間の繋がりを強固にし各メンバーの視点を高めるのがOKR導入のきっかけです。
メルカリはスピード感のある事業展開で大きく成長させると共に、常にチャレンジングな環境を生み出しています。
OKR目標設定では「達成確率が50%程度のOKRを設定しよう」「ワクワクするOKRにしよう」をコンセプトとし、高難易度のゴール設定を推奨しています。
メルカリでは各四半期初めにOKRを設定し、各四半期の末に見直しを行います。その後以下5つのステップで、それぞれOKRを設定しています。
①グループ全体
②事業部
③部署
④チーム
⑤個人
基本的にOKRは達成不可能な目標(ストレッチゴール)を掲げるため、人事評価と結びつけずに運用します。
しかしメルカリではOKRを評価制度と結びつけているため、3か月ごとにOKRの進捗をベースにした評価を行い、また次のOKRを設定するサイクルです。
自社のエンジニアが開発したシステム「Reviews」でOKR設定からPeer Review、Performance Review、Calibration、Feedbackのレビューサイクルを一貫して管理しています。
メルカリグループはメルカリ、メルペイ、ソウゾウの3社から成り、それぞれにミッションが存在します。
・メルカリ 新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る
・メルペイ 信用を創造してなめらかな社会を創る
・ソウゾウ 次のメルカリ級の事業を作る
そしてメルカリは、バリューとして3つを掲げています。
「Go Bold (大胆にやろう)」
「All for One(全ては成功のために)」
「Be Professional (プロフェッショナルであれ)」
会社の3つのミッションとバリューがきちんとつながるOKRに設定されているかどうか、実践できているか、またOKR達成のプロセスで見られた成果やパフォーマンス、これらの点について評価をしています。
出典:logmeBiz
OKRで組織と個人の目標を同時に達成するには
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OKRで組織と個人の目標を同時に達成するには
組織(会社)の目標と個人の目標を同時に達成するためには、両者の目標がリンクすることが重要です。組織や個人のタスクを明確にしていくために大切な、OKRを現場に導入するためのポイント6つをお伝えさせて頂きます。
①OKRとは何なのか、全社員(従業員)に意味を浸透させる必要がある
②現状維持ではなくチャレンジングな目標を設定する
③目標に対する成果指標を設定する
④OKRの達成率は60~70%が目安
⑤OKRを実績評価のツールと考えない
⑥組織のOKR評価は可能な限り公開する
OKRでの目標達成に1on1ミーティングを
マネジメント層は、組織(会社)のOKRの浸透や部下の目標設定に対して適切なアドバイスを行うなど細やかな対応が必要です。心理的安全性が保たれると上司と部下の意思の疎通がスムーズに進み、コミュニケーションも活発になります。
先ほどの事例でもご紹介したメルカリでは、OKRについて上司と部下が「1on1ミーティング」で話しあえる環境づくりに注力しています。
1on1ミーティングでのフィードバックの場を生かし、部下の潜在能力を引き出してOKRの目標達成につなげましょう。
OKRと外部リソースの活用
OKRの目標達成にはマネジメント層の育成も不可欠な要素のひとつです。近年、多くの企業で個人の自律性促進、コミュニケーションや学びの場として外部リソースの活用が進んでいます。
<hanaseru>では組織の変化にはマネジメント層の意識改革が必要だと考えます。キャリアコーチングで悩めるマネジメントを支援する<hanaseru>の導入をぜひご検討ください。
今回解説したOKRやMBOとの違いなどをまとめた資料をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
お役立ち資料「目標管理の課題と達成に向けたアプローチ」はこちらからダウンロード頂けます。
最後に:「OKR」とは何か?人事評価との違いや魅力、事例も併せて解説のまとめ
OKRは会社の最重要課題を明確にして全社員(従業員)と共有し、全力で取り組むための手法です。OKRを実績評価のツールと考えず、目標は60〜70%の達成を目安としたストレッチゴールを設定し、今後の成長や発展につなげましょう。
Googleやメルカリその他数多くの企業に支持されているOKRは、社員(従業員)のエンゲージメント向上により高いパフォーマンスを発揮し、スピード感のある事業展開につながります。
デジタルアンケートによるコンディションの可視化と、外部プロ人材によるキャリアコーチングの<hanaseru>は、組織のコミュニケーション活性化やマネジメントを支援します。お気軽にお問い合わせください。
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