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目標管理制度(MBO)とは何か?メリット・デメリットをポイント解説

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目標管理制度(MBO)とは何か?メリット・デメリットをポイント解説

現在、国内企業の約3割が導入していると言われるのが目標管理制度(MBO)です。目標管理制度(MBO)は、個人やチームの単位で目標を定め、その達成度で評価を行う制度となります。

この目標管理制度(MBO)については、1954年に経営学者のピーター・ドラッカー氏の著書「現代の経営」の中で「Management By Objective and Self Control」と提唱した組織マネジメント手法の1つになりますが、この本の中でドラッカー氏は、自分で自分をマネジメントすることの大切さを強調しています。

しかしながら日本では、ドラッカー氏が大切だと説いたand Self Controlの部分が抜け落ち、Management By Objectiveで目標管理制度と訳されているのです。そのため日本では、社員(従業員)にノルマを課して達成させると誤解されやすいのが実情なのです。

本記事では、目標管理制度(MBO)についてメリット・デメリットのポイントを交えて解説していきます。

目標管理(MBO)とは何か?

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MBOとはManagement By Objectiveの略称で、日本では目標管理制度と呼ばれています。これは社員(従業員)が目標を設定し、上司の承認を得て一定期間ごとに目標達成度合いを評価する、バブル経済崩壊以降急速に普及した制度です。

目標管理制度(MBO)は定量、定性を併せた評価で、目標そのものの達成に焦点を当てています。数値的な指標以外に数値で表しにくい部分はどのように評価していくのでしょうか。目標管理制度(MBO)について、これから詳しくご紹介します。

 

目標管理制度(MBO)とは

目標管理制度(MBO)とは、1954年に経営学者のピーター・ドラッカー氏の著書「現代の経営」の中で「Manegement By Objective and Self Contorol」と提唱した組織マネジメント手法の1つです。この中でドラッカー氏は自分で自分をマネジメントすることの大切さを強調しています。

日本語ではand Self Contorolの部分が抜け落ち、Manegement By Objectiveで目標管理制度と訳されています。そのため社員(従業員)にノルマを課して達成させると誤解されやすいのが実情です。

 

しかし目標管理制度(MBO)は社員(従業員)の成績評価をするだけではありません。目標をノルマとして管理するトップダウン型ではなく、本人の決定した目的や目標を上司がマネジメントしていく、ボトムアップ型であることが本質なのです。

 

目標管理制度(MBO)は、社員(従業員)個々人が目標を自律的に決定するため、高難易度の目標達成に向けたモチベーションにつながり生産性アップが見込まれます。

社員(従業員)は上司との話し合いの中で組織目標を理解した上で、自分に何ができるかを考えて個人目標を設定します。そのため双方が目指すベクトルの一致が可能です。

組織に対する貢献や成果の意識を持つ社員(従業員)は、目標に向かって主体的に行動するようになります。

 

ここで目標設定についてのポイントをご紹介します。

 

①個人目標の設定

組織と個人の目標のずれを少しでも無くすため、社員(従業員)は組織目標の理解度を高めた上で、方向性の合致した目標を設定する必要があります。組織目標の達成に向けて自分はどのような形で貢献できるのか、何をするべきか意識を高め設定します。

 

・具体的な言葉や数字で書く

数値目標は達成率の明確化を意味します。更に具体的な言葉で記載しておくと進捗率も明確化されます。

 

・個人目標と組織目標を記載

個人、組織両目標の記載により指針と比較でき、確認作業が容易です。フィードバックしやすい記録作成を意識しましょう。

 

・達成可能な目標設定

目標管理制度(MBO)は基本的に100%の達成率を前提としています。評価にも影響するため自分の立てた目標が達成可能な数字か上司とも良く相談し、客観的な意見を仰ぎましょう。

 

・期限の設定

期限を設けないと目標達成のモチベーションが低下しがちなため、目標には必ず達成期限が必要です。決められた期限がなく目標達成できない場合、挫折感を覚える危険性も孕んでいます。

 

②評価期間の設定

フィードバックの頻度が少ないと目標に対する意識が高まりません。反対にあまり短期間で評価を行うと達成度が判断しにくくなります。評価期間は半年から1年に設定し、目標に対する達成度の納得感が得られるよう期間中に数回フィードバックを行うと良いでしょう。

 

③目標は評価期間終了ごとに変更

原則として目標は評価期間ごとに変えていきます。しかし期限内の達成が困難な場合、次の目標設定期にスライドするなどの対応を取り臨機応変に対応しましょう。

 

また組織目標設定についての注意点は以下3点です。

・具体的な数値目標の設定(前年度比●%アップなど)

 

・組織が目指す強化の方向性を明確にする

 

・会社全体で目標を共有し、目標達成における利点について社員(従業員)の同意を得る

 

これらの注意点を重視し、組織と個人の目標のずれを少しでも近づけていきましょう。

 

目標管理制度(MBO)が導入されている背景

目標管理制度(MBO)導入の要因の1つに成果主義の普及が挙げられます。

ピーター・ドラッカー氏により提唱された目標管理制度(MBO)は1960年代頃日本にも導入されました。当時はそれほど普及せず、脚光を浴びたのは、その後1990年代後半のバブル経済崩壊による急激な景気後退や、同時期に急速に進展したグローバル経済がきっかけと言われています。

バブル経済崩壊により経営環境改善が急務となり、またグローバル経済の進展で企業の評価基準が株主価値を重要視していました。そのため人件費削減が求められた企業は従来の年功序列型から欧米型の成果主義へと移行し、大きな成果や業績を上げ能力の高い社員(従業員)に対して、高給与を支払う考え方が生まれました。その流れから成果を判断しやすい目標管理制度(MBO)が多くの企業で導入され始めたのです。

 

パーソル総合研究所の調査結果によると、現在では日本国内の3割超の企業で目標管理制度(MBO)による目標管理が実施されています。

出典:人事評価制度と目標管理の実態調査 2021年 パーソル総合研究所

 

目標管理制度(MBO)とよく比較されるOKRとの違い

OKRとはObjectives and Key Resultsの略で、目標と目標達成のためにキーとなる結果を指します。

元インテルCEOのアンディー・グローヴ氏により提唱されたOKRは、会社・個人それぞれの目標を共有します。短期的で高難易度の目標に取り組み、社員(従業員)のパフォーマンス向上を図るのが狙いです。

Googleが導入し注目を浴びたOKR、国内企業ではメルカリやRaksul(ラクスル)などスタートアップ企業の導入が顕著です。

OKRの目標設定は定量のみに限られ、あえて能力以上の難易度で成長を目指すことが求められています。達成率は60−70%になるように計画し、もしもそれ以上の達成率を上げた場合は目標値の立て方が甘いと判断されます。

目標を個人で管理する目標管理制度(MBO)に対し、OKRの場合、社内公開が原則です。数値目標の達成度がそのまま評価に反映されるわけではなく、あくまで成長に焦点を当てているのがOKRの特徴です。

目標管理制度(MBO)のメリット

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目標管理制度(MBO)は正しい運用方法で用いると会社の業績向上につながる効果的な制度です。目標管理制度(MBO)のメリットについて解説していきましょう。

 

(1)モチベーションが向上

社員(従業員)個々人が目標を設定するためモチベーションアップにつながります。

1971年心理学者エドワード・L・デシ氏とスタンフォード大学心理学教授マーク・R・レッパー氏が行なった実験によると、自分が達成したいと考え自ら行動する(内発的動機付け)ことに対し、報酬を与えるなどの外発的動機づけが加わるとモチベーションが減少すると判明しました。

 

(2)経営理念やパーパスが浸透

目標管理制度(MBO)は組織と個人の目標をすり合わせることから始まるため、個人は組織目標を深く理解し自分の目標を立てるため、双方が目指すべき方向性を一致させることができます。

 

(3)客観的な評価制度

具体的な目標を自分で定めるため、目標の達成度が明確になり判断しやすくなります。また達成可能な目標であるか上司に確認を取ってから設定を行うため、客観的な視点で設定された目標を評価につなげます。

 

(4)社員(従業員)の自律性向上

自ら目標を定めて実行するため社員(従業員)の自立性の向上が期待でき、また判断力の向上にもつながります。

 

(5)社員(従業員)のスキルアップ

目標の立て方は簡単すぎず難しすぎない、達成見込みのある数字を設定します。通常業務よりも少し難易度を上げ、創意工夫で達成できる程度の目標を設定するとスキルアップになります。

 

(6)人事考課のための評価が可能

上司と相談しながら、あくまでも個人で目標を設定し達成に向けて活動していくことで目標達成の判断が明確になります。

目標管理制度(MBO)のデメリット

(1)モチベーションの低下

成果や達成率に固執しすぎると社員(従業員)にとって目標がノルマ化してしまうため、正しく運用ができなければ逆にモチベーション低下に陥ります。

また、目標未達の社員(従業員)に必要以上に厳しい評価を行うとモチベーション低下を招くため、マネジメント層は目標達成までのプロセスも鑑みてバランスの取れた評価を行いましょう。

 

(2)マネジメント層への負荷

評価にあたるマネジメント層は部下の目標設定の助言、修正のサポート業務が増え、細やかな対応が必要になります。

 

(3)手段の目的化

目標管理制度(MBO)の導入は、組織目標を理解し社員(従業員)が成果を上げながら成長していくための手段であり、目標管理制度の運用を目的化してはいけません。本来の目的を履き違えないために注意が必要です。

 

(4)目標達成の固執

報酬との結びつきが強くなりすぎると目標達成に固執し過ぎて過重労働につながる恐れがあります。高評価を得るために低い目標を設定する悪影響も懸念されます。

また目標を設定すると、時として社員(従業員)の目標に関与しない業務に対してモチベーション低下を招く場合があります。個人主義に傾きやすくチームワークに悪影響を及ぼす恐れがあり、注意が必要です。

 

(5)時代変化の対応遅れ

目標管理制度(MBO)の評価や振り返りの頻度は、基本的に半年から1年と定めています。しかし急速な時代の変化に伴いビジネス環境が激変する可能性も否めません。目標設定期間と変化のスピードが噛み合わなくなった場合は目標変更になる場合があります。

目標変更は従業員にとって混乱の原因になり、またマネジメント層は負担増加が懸念されます。

目標管理制度(MBO)運用のポイント

今回解説した目標管理制度(MBO)運用のポイントをまとめた資料をご用意いたしました。

お役立ち資料「目標管理の課題と達成に向けたアプローチ」こちらからダウンロード頂けます。

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目標管理制度(MBO)を成功に導くヒント

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目標管理制度(MBO)を成功に導くために必要なヒントをご紹介します。

 

目標管理制度(MBO)は部下の目標管理への上司の意識が大切

目標管理制度(MBO)の運用にとって大切なのは上司の意識です。会社や組織が抱えている課題をあぶり出して社員(従業員)にしっかりと伝え、共通認識を持った上で社員(従業員)個々人の目標と会社の目標のすり合わせを行いましょう。

またマネジメント層は社員(従業員)の設定した目標が能力に見合ったものであるかを客観的にチェックし、進捗状況や達成度合いを定期的に確認する必要があります。

評価基準は偏りがなく公正のない基準を定めておくと、評価に対する社員の納得度が向上します。

 

目標管理制度(MBO)を正しく運用するには高頻度の1on1ミーティングが必要

目標のノルマ化やモチベーション低下を生み出さず、目標管理制度(MBO)を正しい形で運用するためにも上司と部下の信頼関係構築は最重要課題です。

目標管理制度(MBO)の評価期間は通常半年から1年に設定されることが多いため、期間内に設定と振り返りのフィードバックが必要です。しかし客観的な数値における進捗状況の確認や評価だけでは、成果につながるプロセスや個人の背景は見えてこない場合が多いのです。

その点、週に1度から月に1度と高頻度で開催される1on1ミーティングは、上司の自己開示で心の距離が近づきます。心理的安全性が保たれると上司と部下の意思の疎通も図れ、コミュニケーションも活発になります。


目標管理制度(MBO)の導入に外部リソースの活用という選択肢を

マネジメント層は、部下の目標設定に対して適切なアドバイスや修正のサポートなど細やかな対応を行う必要があります。しかしながら評価や育成に不慣れなマネジメント層の場合、指導力にもばらつきが生じる恐れもあります。評価基準に差があると社員(従業員)が不公平感を抱きかねません。

目標管理制度(MBO)の成功にはマネジメント層育成も不可欠な要素のひとつです。近年、多くの企業で個人の自律性促進、コミュニケーションやマネジメントの学び、育成の場として外部リソースの活用が進んでいます。

<hanaseru>では組織の変化にはマネジメント層の意識改革が必要だと考えています。キャリアコーチングでマネジメントの持論形成を支援する<hanaseru>の導入をぜひご検討ください。

最後に: 目標管理制度(MBO)とは何か?メリット・デメリットをポイント解説のまとめ

目標管理制度(MBO)は個人やチームの単位で目標を定め、その達成度で評価を行う制度です。マネジメント層の正しい理解で目標管理制度(MBO)を正しく運用し、個人と組織の目標の方向性を一致させると、貢献や成果を意識した社員(従業員)は主体性のある行動で、生産力アップにもつながり、企業の成長を促進します。

デジタルアンケートと外部プロ人材によるキャリアコーチングの<hanaseru>は、組織のコミュニケーション活性化やマネジメントを支援します。お気軽にお問い合わせください

 

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