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組織と個人のミッションを一致させる「パーパスマネジメント」とは何か?事例も交えてご紹介

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組織と個人のミッションを一致させる「パーパスマネジメント」とは何か?事例も交えてご紹介

昨今、企業の存在意義を示すパーパスを主軸とした「パーパスマネジメント」が注目を集めています。日本ではソニーグループユニリーバ・ジャパン花王などの企業が導入し、企業と社員(従業員)一人ひとりのパーパスをフィットさせ話題を呼びました。

組織と個人のミッションを一致させる「パーパスマネジメント」とは何か。メリットや注意点、事例なども交えてご紹介します。

パーパスマネジメントとは何か?

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1)パーパスマネジメントとは何か?

ビジネスシーンでよく目にするようになったパーパス(Purpose)。日本語に直訳すると「目的・用途・ねらい・意図」といった意味を持ちますが、ビジネスの場面ではさらに深く掘り下げて「社会における(企業や個人の)存在意義」を指すキーワードとして用いられています。

パーパスの特徴とは、強みや信念、歴史が反映され、その思いを社内外に響かせてエネルギーを生み出し具現化していく点です。

 

 

2)パーパスマネジメントと比較される経営理念やMVVとの違い

パーパスと混同されやすい言葉に「経営理念」や「MVV」があります。

簡単に説明すると、「経営理念」とは企業の創業者や経営者個人の哲学や信念に基づく企業の根幹となる部分を明文化したものです。そこには創業者の価値観が反映され、企業文化を形成する上で主要な役割を担っています。経営理念とは、社員(従業員)が企業の価値観を理解し、意識統一を図りながら一体感を持って働くために欠かせないものであるといえます。

 

経営理念とパーパスの大きな違いは、時代の変化とともに再定義の必要性があるか否かです。いかに優れた内容の経営理念であっても、常に変化し続ける時代の波の中ではいずれ形骸化していきます。そのため、企業が新たな道を踏み出すためには、経営理念を定義しなおすタイミングの見極めが重要なのです。

パーパスはより社会的なつながりに焦点を当てて策定するため、一度決定した存在意義が揺らぐことは少ないとされています。

 

MVVとは

  • Mission(使命)
  • Vision(未来や理想像)
  • Value(価値)


の頭文字をとった略称です。経済学者のピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)が著書『ネクスト・ソサエティ (Managing in the Next Society)』でその重要性を記し、それがきっかけでよく知られるようになりました。

 

企業が果たすべき使命とは何か、どのようにしたら将来の理想像に近づくか、企業が大事にする価値観は何か。これらMVVを踏まえた延長線上にある、企業としての社会貢献や事業による社会課題の解決に対する思いを言語化したものがパーパスなのです。

パーパスマネジメントが注目されている背景

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パーパスマネジメントが世界的に注目されるようになったのは、4つの背景があると言われています。

 

①投資家の評価基準に変化(フィンク・レター)

世界最大級の米資産運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクCEOが、日本を含む投資先企業に送る年初の書簡ではじめてパーパス主導の経営について説いたのが2019年。その後2020年、2022年と企業の「パーパス(存在意義)」の重要性を説き続けています。

 

2022年のフィンク・レターでは「パーパスをステークホルダーとの関係の基盤と位置付けることが長期的な成功の鍵となる」と明記。パーパスはESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営でも重要な要素であり、投資側の評価ポイントとする観点を明確にしました。株主資本主義からステークホルダー資本主義の時代へ舵が切られたといってもいいでしょう。

 

②VUCAの時代 

テクノロジーの急速な変化や未曽有の自然災害、さらには新型コロナウイルスの感染拡大。近年、世界規模の課題に直面し、未来の予測が困難な時代を迎えています。

 

Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)、これら4つの単語の頭文字からなる略称でVUCAと呼ばれる先行き不安な時代は、今まで常識とされてきたビジネスモデルが通用せず、いとも簡単に覆されるケースも少なくありません。

 

明確なパーパス(社会的な存在意義)を掲げ、社員(従業員)と価値観を共有する企業には、社会貢献を前提とした揺るがない共通の目的が存在します。社員(従業員)は自社のパーパスを踏まえて自律的に貢献の方法を模索し、進むべき道を切り開いていくと期待できます。

 

③新しい価値観

2025年には労働人口の約半数を占めると言われているZ世代やミレニアル世代。現在10〜30代のこの層はデジタルネイティブと言われ、生まれた時からIT環境の整った中で育ってきました。そのためインターネットやSNSを通じて幅広い意見を目にする機会も多く、個性や他者の価値観を認め合い、違いを受け入れ尊重する考え方を持っています。

 

もちろん情報の収集に限らず、SNSを駆使した情報発信を得意とするなど、共感や同じ志を持つ仲間とのコミュニケーションも大切にしています。

 

社会意識が高く多様性やSDGsなどを尊重するこの世代は、消費活動でもその傾向が顕著にあらわれています。彼らは商品やサービスの中に自分が大切にする価値観や共感するポイントを見出だし、利用や消費を通じて社会貢献に役立ちたいと考えています。消費活動だけでなく彼らが誇れる働き先として、Z世代やミレニアル世代の新たな価値観で選ばれる企業になるために、表面的な言葉ではなく、社会課題に対する変革の道筋が見えるパーパスを策定していく重要性があるといえるでしょう。

 

④DXの推進

あらゆる業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務とされています。業務や経営そのものの変革やワンチームの価値創造でも、多くの意思決定の場面が生まれ、企業や社員(従業員)に浸透したパーパスという明確な判断基準が、迅速な意思決定を可能にします。

パーパスマネジメントのメリット

パーパスマネジメントの3つのメリットに注目し、内容を紐解いてみました。

 

社員(従業員)エンゲージメントの向上

「パーパス・マネジメントー社員の幸せを大切にする経営」の著者である丹羽真理氏は仕事をするうえで幸せをもたらす要素を4つあげています。

 

・Purpose(パーパス:存在意義)

・Authenticity(オーセンティシティ:自分らしさ)

・Relationship(リレーションシップ:関係性)

・Wellness(ウェルネス:心身の健康)

 

この4つの要素で形成されたピラミッドこそ社員(従業員)が幸せに働くために必要な条件だと説いています。

ピラミッド図_画像1

画像出典:「ビジョン」「ミッション」から「パーパス」へ ― 個人と組織の存在意義が仕事における幸福度を高める

 

まず心身ともに健康という土台がある。そのうえで周囲との関係性を構築しながら、自分の存在意義を感じられる仕事で自分らしさを発揮するというものです。

組織と個人のパーパスの距離が密接で重なり合う部分が大きければ大きいほど、会社に対する誇りや帰属意識も高まり、仕事に取り組む個人の幸福度が増していきます。社員(従業員)エンゲージメントが向上し、その結果、組織の生産性向上につながるのです。

 

②ステークホルダーからの信頼獲得

自社の社員(従業員)、株主、顧客などの中で一番身近なステークホルダーともいえる社員(従業員)が自社に誇りを持ち、日々の仕事に対する使命を実感できるようになると、外部にも明確なパーパスが伝わり共感度が高まっていきます。

社会に有益な会社であると世間の認知度がアップし、企業価値も向上。ステークホルダーの信頼獲得につながり、売上の向上、優秀な人材の採用など様々な好循環が期待できます。

 

③イノベーションの創出

組織と個人の中でパーパスが根付いていると、ぶれない軸が定まり、同じ目標に向かって行動する組織の一体感が生まれます。社会的な価値や貢献の目的が社員(従業員)一人ひとりの中に落とし込まれ、既存の事業改革やイノベーションの創出へとつながっていきます。自律的な意見交換から本質的な価値創造で新たな視点を構築し、企業の発展によい影響を与えるでしょう。

パーパスマネジメントの導入方法と企業事例

1)パーパスマネジメントの導入方法

パーパスマネジメントをおこなう際にはいくつかのポイントがあります。今回、具体例を挙げて3つご紹介します。

 

①パーパスを明確にする

先述したようにパーパスには強みや信念、企業の歴史が反映されます。自社の存在意義を追求し、この答えを社内外に響かせてエネルギーを生み出し具現化していくものです。

明確なパーパスを決定するために、自社の存在が社会的な問題解決の貢献につながっているか、パーパスの内容は社員(従業員)が共鳴できるものであるかを意識する必要があります。

 

②パーパスの言語化

パーパスには誰にでもわかりやすい言葉を使い、自分たちが最優先する価値観を言語化します。シンプルで独自性のある言葉が望ましいのです。

 

③パーパスステートメントの実行

パーパスが策定されたら、掲げるだけで満足せず、率先して実行していきましょう。まずは様々な取り組みに落とし込み、社内に浸透させるのが重要です。組織の価値観と社員(従業員)のパーパスが一致していくに従い、会社を誇る気持ちも徐々に増し、社員(従業員)のモチベーションも高まります。

 

2)パーパスマネジメントを導入した企業事例

 

パーソルテンプスタッフ株式会社

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、企業やはたらく人に寄り添いながら、多様な「はたらく」のサービスを展開しています。

組織の拡大で現在ではグループで50,000人 を超える規模。業績中心の会話から自分たちの仕事の意義、キャリアや目標など、違う角度からの気づきを得るべく、2021年からマネジメント層向けのキャリアコーチを行う〈hanaseru〉を導入しました。

 

導入前は社内の1on1ミーティングが実務や業績の話題中心になりがちな点や、マネジメントから発信していることが組織全体へ浸透しているか見えにくいといった課題をお持ちでした。

 

導入後は自分の仕事への思いや将来についての思考整理が行えるようになり、社員(従業員)自身の仕事の意義やキャリアなど、業績とは違う角度へ目を向けられるようになったと話されています。


パーパスマネジメント導入事例の詳細はこちら

パーパスマネジメント導入時の注意点

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1)パーパスマネジメント導入時に注意すべきこと

パーパスには社会的な意義があります。社員(従業員)が共感し、パーパス実現のために心から社会貢献を続けたいと願い奮起するような内容にしなければなりません。

 

パーパスを策定し公表したものの、経営内容があまりにもパーパスとかけ離れていて、努力する姿勢が見られない。ステークホルダーからパーパスウォッシュ(実態の伴わない見せかけのパーパス推進)と烙印を押されると、企業イメージを落とし社会的信用を失いかねません。理想像だけにとらわれた内容ではなく、実現可能なパーパスを選ぶことが重要です。

 

また、社員(従業員)がパーパスの意味に共感するだけでは経営に変化やイノベーションは生まれません。頭では理解していても感情が伴わない状態では、社員(従業員)は受け身のままで、新しい意見を生み出す自律型人材は誕生しないのです。

 

会社のパーパスを自分ごととしてとらえるためには、面従腹背ではなく、社員(従業員)一人ひとりが自分のやるべきことや目指すべき方向性について腹落ちする必要があります。個人と組織のパーパスが大きく重なり合うと、社員(従業員)のエンゲージメントや幸福度の向上につながると先ほどお伝えしました。世の中に対して何を提供したいか、社会の一員としてどのような存在でいたいのかといった個人のパーパス導出は1on1ミーティング抜きには考えられません。踏み込んだ話をしてもらうためには個人のさまざまな性格や考え方・価値観の受容やコーチング、フィードバックといった1on1の技術が必要です。

 

 

 

2)パーパスマネジメントに外部のプロコーチという選択肢を

パーパスマネジメントでは組織と個人のパーパスを適切に導き出すために、とくに丁寧な1on1ミーティングが必要とされます。しかし1on1は傾聴の高度な技術や、心理的安全性が担保された場所や話を引き出すコツも必要です。上司のコミュニケーションスキルの差により精度が異なるほか、ミーティングにかかる上司の時間的負担も相当なものです。

 

外部のプロコーチという選択肢は、安定的に高クオリティのコーチングの供給が期待できます。一般的な外部プロコーチは話を聞く専門家であるからこそ質問の仕方やコミュニケーションの取り方が上司とは異なり、1on1を受ける側も第三者だからこそ聞けることや話せる内容が生まれます。

 

〈hanaseru〉のプロコーチは厳しい審査を通過したプロフェッショナル。人材開発における社員(従業員)との1on1経験や、企業向けチームビルディング研修の実施、リーダーシップ開発プログラム企画、社員(従業員)へのキャリア支援コンサルティング経験が豊富な人材が揃っています。プロコーチは知見やノウハウを生かし、人(個人の在り方)を切り口として対話をおこなうため、業務内容や社内の人間関係を詳細まで把握せずとも自己の内省、自律に向けたキャリア支援が可能です。利害関係のないプロコーチには社員(従業員)も率直な思いを話すことができます。個人にフォーカスした質問で対話を重ね、会社や仕事に対する思いや向き合い方を深く掘り下げていく。個人のエンパワーメントが強化し、組織として会社の方針に共感・賛同が生まれ、エンゲージメントの向上につながっていきます。

 

〈hanaseru〉はデジタルアンケートによるサーベイと1on1を組み合わせて組織のコミュニケーションやマネジメントを支援し、社員(従業員)が自走できる状態を伴走していきます。

最後に: 組織と個人のミッションを一致させる「パーパスマネジメント」とは何か?事例も交えてご紹介のまとめ

パーパスマネジメントとは、社会における自社の存在意義や価値に同じ思いを抱きながら社員(従業員)が誇りを持って働ける経営手法です。組織と個人のミッションが限りなく近づき一致した時、社員(従業員)は幸福度の高い働き方ができます。業務と関連のない相手だからこそ言葉にできる思い。本来やりたいことやなりたい自分を引き出してパーパスを明確にするためには、心理的安全性が高い場での1on1ミーティングが適しています。

 

〈hanaseru〉はデジタルアンケートと外部プロ人材のキャリアコーチングを組み合わせ、成果を導きます。お気軽にご相談ください。

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