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「年上部下」の育成に悩んだら?年下マネジャーの実践マネジメント術

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「年上部下」の育成に悩んだら?年下マネジャーの実践マネジメント術

日本企業の人事評価制度は年功序列から成果主義制度が主流になりつつあり、近年「年上部下」の割
合が増加傾向にあります。年下マネジャーにとって、「年上部下」に対するコミュニケーションや育成、マ
ネジメントの難しさは大きな悩みの原因です。今回の記事では「年上部下」のマネジメントについて分か
りやすく解説し、実践術もご紹介していきます。

「年上部下」が増加している背景

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戦後、日本の高度経済成長は「年功序列制度」と「終身雇用制度」2つの制度の下、多くの労働力によって支えられてきました。社員(従業員)は年齢や勤続年数に即した賃金の上昇、定年までの雇用と退職金支給などが保証され、生活の安定が担保された社員(従業員)は帰属意識を高め、会社の成長のために貢献してきました。

 

しかし、バブル経済崩壊により終身雇用制度の維持が困難になると、新卒採用を見送る企業が増加。社員(従業員)の高年齢化が進み、年功序列制度は徐々に成り立たなくなっていきました。日本経済の停滞と共に急速に発展した成果主義は、効率的に成果を上げる若い層の昇進を後押しし、その結果数多くの「年上部下」を生み出しました。

 

超高齢化社会の加速

1975年から続く大きな社会問題の「日本の少子高齢化」も「年上部下」の増加に拍車をかけています。現役世代の労働力人口(15歳~65歳)は、減少の一途を辿っています。超高齢化社会を迎え2025年には全人口の4人に1人が高齢者になると言われている中、労働力不足は喫緊の課題です。今後、高齢者雇用が加速化し、「年上部下」のさらなる増加が見込まれるでしょう。

 

定年後の再雇用の増加

超高齢化社会と呼ばれる現在、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間)も年々伸びを見せ、65歳以上でも働きながら健康的な生活を送りたいと考える人が増えています。

 

厚生労働省が発表した2019年(令和元年)のデータでは、平均寿命は男性が81. 41年、女性が87. 45年。前年に比べ男性は0.16歳、女性は0.13歳の延びで8年連続のプラスになっています。また健康寿命に関しては男性72.68歳、女性は75.38歳。平均寿命と健康寿命との差は男性が8.7年、女性が12.07年と平均寿命よりも健康寿命の伸びの方が大きくなっています。(注1)

 

少子高齢化が進む中、経済社会の活力維持を目的に高年齢者雇用安定法が制定され、働く意欲がある人は年齢にかかわらず活躍できる社会の実現を目指し、取り組みを進めています。以前は65歳までであった雇用確保措置が、2021年の改正では70歳までの努力義務に拡大(注2)。そのため、定年後の社員(従業員)の継続雇用や、契約社員や嘱託社員といった契約の形を代えた再雇用増加が予想されます。

出典:

(注1)厚生労働省 健康寿命の令和元年値について

(注2)厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

 

成果主義の企業の増加

経済不況で見通しの立たない中、コストカットなどの要因から従来の年功序列制度や終身雇用制度の維持が難しくなりました。業績や成果による賃金の決定で適切な再配分や削減が可能になる成果主義を導入する企業が増加しており、平成16年度の調査では、社員(従業員)数1,000人以上の大企業の83.4%が成果主義を採用しています。

出典:厚生労働省『平成16年度 就労条件総合調査』、独立行政法人労働政策研究・研修機構『第2 成果主義の現実』

 

年齢や勤務年数が昇進の壁になっていた年功序列制度に対し、成果や成績のみで評価する成果主義は優秀な若い世代の早期昇進を後押しし、モチベーションアップにつながっています。

IT化の流れを汲み、効率的かつ合理的に成果を発揮する若手世代の昇進は加速化し、年下マネジャーによる「年上部下」のマネジメントの割合も増加中です。

「年上部下」が抱えてしまう課題

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年下マネジャーが「年上部下」のマネジメントで悩んでいるのと同様に、「年上部下」も自身の職場でのあり方に課題を抱えています。高度経済成長期、バブル経済崩壊、就職氷河期など様々な社会情勢をくぐり抜けてきた世代は、受けてきた教育方針も現在のものとは全く異なります。

普通や当たり前といった基準が若い世代とは異なるため、お互いの価値観も一致しません。

 

①新しいものを受け付けにくい

「年上部下」にとって、新しい環境や技術に対する適応力は大きな課題となっています。加齢による体力や気力、集中力の低下は著しく、今までは出来ていたことでも以前より多くの時間を要し、体力的にきついと感じるようになるなどの変化も見られます。

また急速な進化を遂げたIT化やSNS、チャットツールなども、デジタルネイティブ世代に比べて理解度が低く、習得に時間を要するのも致し方ありません。

そのため、新しいものをなかなか受け入れにくい「年上部下」の場合は、変化の少ない環境で同じ仕事に従事したいと考えるのも無理はありません。

 

②過去の成功体験を思い出してしまう

過去の成功体験は今までの仕事や人生の礎になっているため、「年上部下」本人にとって大きな自信になっています。しかし、その体験に基づいてアドバイスを行ったとしても、社会情勢が急速に変化し、価値観も変化している現在の状況に当てはまるとは限りません。

アドバイスが聞き入れられないと自尊心が傷つき、年長者に敬意を払う日本文化の風潮を盾に、上司に反発するケースも聞かれます。

 

「年上部下」には今までの経験とそこに裏打ちされた自負があるため、年下上司からの指導や指示に対し、自分のやり方を否定されていると感じてしまいがちです。

新しい考え方を受け入れられず上司に反発し、頑固で扱いにくい存在と思われているのも不本意に感じています。

 

③慎重になりすぎてしまう

今までの肩書や豊富な経験を知る社内の人の視線が気になり、失敗を恐れて慎重になりすぎてしまうケースも多々あります。

中には年下マネジャーの視線を気にしてあまり前面に出ないようにしている、また若手社員の活躍の場を奪ってしまってはいけないので慎重に行動する必要があるのではないかと、気を揉んでいる「年上部下」も存在します。

「年上部下」の頭の中を覗いてみよう

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一口に「年上部下」といってもタイプによって考えている内容は様々で多岐にわたります。

 

・居場所のない疎外感を抱いている

・肩書を失くしたことによる自信喪失

・賃金のダウンによる意欲の低下

・後進の道を妨げないように遠慮している

・未経験の分野への挑戦に心を躍らせている、逆に不安を抱いている

 

など、不満やストレスに限らず、中には前向きな感情が生まれるケースもあります。

自分が「年上部下」の立場であればと想像力を膨らませ、その際にしてもらえたらうれしいアドバイスややる気を引き出すサポートを考えてみましょう。

「年上部下」をマネジメントするには

「年上部下」は対応に困る場面も比較的多くあり、思っていることをストレートに伝えられずに悩む年下マネジャーは多いと言われています。

しかし「年上部下」も多くの悩みを抱えており、双方の立場に立って考えると積極的なコミュニケーションでお互いの思いを共有し合う必要があると言えます。

 

仕事で失敗しても良い環境作り

「年上部下」は今までの経験や肩書から来るプライドを前に完璧さを求め、失敗が許されない意識を抱いています。また若い世代が活躍する場では、自分はここにいても良いのだろうかという不安感に苛まれるケースも見受けられます。

ジェネレーションギャップを抱えつつも同じ目標達成を目指すチームの戦力として、お互いに失敗も受け入れながら安心して働けるように、新しい環境を整備する必要があります。

「年上部下」ならではの知見を活かした発言や提案の場を設けるなど、職場内の居場所を増やしていきましょう。

 

仕事とプライベートを分けて接する

飲み会の席では友達のような感覚で接する仲の良い「年上部下」も、仕事のパフォーマンスには関係がないという研究結果が出ています。

長年、上司と部下の関係構築には飲みニケーションが有効だと言われてきましたが、仕事のパフォーマンスとプライベートは一線を画し、コミュニケーションは仕事内で図るのが賢明です。

出典:石山恒貴・パーソル総合研究所、2017、ミドル・シニアの躍進実態調査

 

1on1ミーティングの機会を持つ

「年上部下」とのコミュニケーションの機会が少ないと、年下マネジャーは部下の入社から今までの配属先といった経歴の情報を知らず、一方的な指示をしてしまっていたというケースも少なくありません。

まず「年上部下」が築いてきた社歴や業務経験を知り、その上で1on1ミーティングを行いましょう。コミュニケーションの回数を増やし、現在の心境や抱えている問題、今後の働き方などのビジョンなどお互いに語り、共通理解を深めることが大切です。

また公正な評価を行うためにも1on1ミーティングは効果的とも言えます。

年下マネジャーの「年上部下」への実践マネジメント術について

「年上部下」のパフォーマンスを最大限に引き出すためには年下マネジャーの接し方が重要なポイントです。

ここでは「年上部下」に対する実践マネジメント術を4点ご紹介します。

 

年下マネジャーが「年上部下」をマネジメントする

①指摘は平等に

年下マネジャーは上司の役割を果たすために誰に対しても平等に指摘を行う必要があります。たとえ以前の肩書が立派でも、お世話になった先輩であったとしても、以前の関係性が垣間見える態度を取ると他のメンバーは年下マネジャーに対して不平等感を抱き、不満が噴出しかねません。「年上部下」に遠慮したために、チーム全体の士気が低下してしまっては本末転倒です。

現在の上司と部下の関係をわきまえて特別扱いをしないように注意しましょう。

 

②命令口調ではなく依頼口調で

指示を出す場合は命令口調ではなく依頼口調を心がけましょう。また肯定的な言葉に言い換えると、上からものを言われている感覚から、裁量が付与され信頼されていると実感できるようになります。また指示を明確に示し、締切日をしっかり伝え責任の所在を明らかにしておくのもポイントです。

 

③尊敬の念をもって接する

かつての上司や先輩が部下になったからと言って名前を呼び捨てにする、マウンティングするといった態度の急変はもってのほかです。高圧的な態度で接するとさらに「年上部下」の反発を生み、周りの社員にとっても悪影響を及ぼします。過剰な対応は必要ありませんが、「年上部下」に対して敬意を払いながら接しましょう。

 

④経験を生かし任せる

年下マネジャーが「年上部下」に人生の先輩という対応で接すれば、「年上部下」は敬意を示してくれていると感じ、仕事へのモチベーションが高まります。基本的なポイントは「上司としての役割」を果たし、要所要所で「年上部下」の経験値やスキルを可能な限り尊重し、頼りにすると良いでしょう。

分からないことに対して教えを請う姿勢で「年上部下」を味方にし、右腕のような存在になってもらいましょう。

 

年上部下」へのマネジメントにhanaseru〉の活用を

「年上部下」の能力を最大限に引き出すには、コミュニケーションの頻度を高め、心理的安全性の担保された場所で対話可能な1on1ミーティングが効果的です。

他のメンバーには知られたくない弱みや本音の部分もお互いに自己開示し、今後の働き方を聞き取って信頼関係を築き、「年上部下」のマネジメントに活用しましょう。

 

関係性構築に時間がかかる場合、第三者の外部サービスを利用するのもひとつの案です。

〈hanaseru〉の1on1ミーティングは悩みや本心を導き出し、価値ある意見交換を可能にします。外部プロ人材のキャリアコーチングで自律型人材育成と企業の成長を促進します。

最後に: 「年上部下」の育成に悩んだら?年下マネジャーの実践マネジメント術のまとめ

今後も増加傾向にある「年上部下」の存在。年齢が逆転した上司と部下の関係性を円滑に構築するための近道は、「年上部下」の経歴や情報収集やコミュニケーションの促進、双方の悩みの共有です。また「年上部下」の知見を存分に生かしポテンシャルを引き出すために、年下マネジャーのマネジメント力の強化が不可欠です。

〈hanaseru〉はデジタルアンケートと外部プロ人材のキャリアコーチングを組み合わせ、マネジメント力の向上に効果を発揮し成果へと導きます。〈hanaseru〉までお気軽にお問い合わせください。

 

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